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アルバム『諸君』を携えてのツアー、その中盤戦である。開場時間中、客席に流れている音楽の選曲からしてそうだったのだが、『諸君』というアルバムには森山が子どもの頃におそらくは聴いていたであろう、アメリカのルーツ・ミュージックからの影響が見てとれる。だから、そのアルバムの音楽をライブではどんなふうに表現してみせるのだろう?と楽しみにしていたのだが、ステージの前半は特にたとえば1930年代のアメリカではこんなレビューショーが人気を博していたんじゃないか、と思わせるような内容で、しかもその確かな音楽性とこなれたショーマンシップの両方を求められる役回りを森山は見事にこなしてみせた。その内容から弾き語りで聴かせる中盤への展開も印象的で、そのあたりまでで示された、森山直太朗というアーティストのライブ・パフォーマーとしてのクオリティの高さはもう紛れもなかったが、個人的には中盤以降のどこかで2曲くらいカットする構成になれば、最高に引き締まったものになるんじゃないかなあとも思った。まあ、それは「余計なお世話」と言っていいくらいのことで、まずは素晴らしいステージというべきなんだろう。さらに敢えて言えば、「余計なお世話」を焼きたくなるくらい、いいライブだった。
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