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○月×日 くるり取材 |
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間もなくリリースされるベスト盤『ベスト オブ くるり/TOWER MUSIC LOVER 2』について二人にインタビュー。先日、ファンクラブ・イベントで新しいバンドをお披露目したくるりだが、このベストはそのバンドでの活動がスタートする前に、ここまでの活動を整理しておこうという意図もあってのことのようだが、彼ら自身が説明すると、それは「勘」に因るものということになる。
「ちょっと前に仙台と気仙沼と松島に行ってきたんですけど、そこでちょっと演奏したりして。そこにいる人たちと、僕ら、あるいはもうちょっと遠くにいる人たちとは、置かれてる状況も違うし、何か不安に思っていることがあったらそれはどういうことを不安に思ってるかとか、そういうのはそれぞれ違うけど、やっぱり演奏していると音楽が説得してくれるというか、力を持っているもんやということはすごいわかるし。聴いた人もそれはわかるし。そこで鳴らすべきもんっていろんなもんがあると思うんですけど、現時点での僕らの答えに近いもんがここに並んでて。ベストを出す理由はほんまに勘でしかないんです。いま音楽を聴きたい人たちに聴いてもらうための、いちばん楽ちんなアイテムを出したいという気持ちとか、次からの活動がここまでとはちょっと違う感じになると思うので、流れとしてここで出しておくのがいいかなっていうこととか」(岸田)
でも、「勘」で出すものだからこそ、彼らの意識はもちろん無意識の部分までが鮮やかに反映された内容になっていたりする。
「最近よく考えることで、合理的に生きていきたいなというのがあって。でも、合理的っていうと冷めた考え方のように聞こえるし、僕がいちばん苦手としていることでもあるんですけど。例えばアコースティック音楽というのは、肉体から出てくる素直な音楽やと思ってて、音量も自分で調整するもんやし、ダイナミクスも自分で調整するし。でも、エレキ楽器はそういうことがあまり細かくできないんですけど、威勢のいい感じはしますよね。で、僕らはどちらかと言えば、自分らで調整ができるタイプの音楽をやるのが好きなバンドなんかなあと思うんです。3月11日はたまたま京都でライブやったんです。その日はようわからん状況のままライブやったんですけど、12日も京都でライブで。やめたほうがいいという意見もあって、いろいろ話し合ったですよね。で、やるんやけど、電気使わんとやりましょうということになって、PAの機材も片付けてもうて、アコースティック楽器と生声だけでやったんです。そしたらね。すごく音楽をやってる感じがしたんですよね。普段やってるのも音楽なんやけど、より肉感的というか。会ってしゃべってるのとメールでやりとりしてるのとの違いくらいの違いがあって、そうなってくると、やっぱりより生々しいほうがいいなということになって、それはエレキギターを持つときでもそういうことをちょっと考えるようになったんです。そうやっていくと、結果的に無駄が減っていくような気がしてるんです。無駄を減らす為に音楽をやっているわけやないけど、物事はシンプルなほうがええなっていう」(岸田)
つまり、くるり音楽にとっての合理性とは”物事はシンプルなほうがええなあ”というところに向かっているということなんだろう。
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