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  ○月×日 北中正和責任監修「風都市伝説」読了
 

  風都市とは、“はっぴいえんど”やムーンライダーズ、あがた森魚といったアーティストが在籍し、彼らアーティストのマネージメントをはじめ、コンサートの企画/制作、レコード制作なども手がけて70年代前半の日本の音楽シーンにエポックメイクな足跡を残した音楽プロダクションである。この本は、文字通り伝説化したその活動をのべ176におよぶ関係者の証言によって振り返ったものだ。この本を読むまで風都市についてほとんど何も知らなかったと言っていい僕が、読み終えた後で了解したことは、おそらくその実態は聡明でセンスのいい大学生のサークル活動が時代の“風”にのった、といった感じのものではなかったかということである。それを、乱魔堂の洪栄龍のように「当たり前のことをやっているんだと思っていた。風都市は当たり前のように生まれ、当たり前のようにやり、当たり前のように消滅していった」と言ってしまうのは少しシニカルに過ぎるような気はするものの、かと言ってことさら伝説化してしまうのもちょっと違うかなあという感じがする。おそらく、この本の目的も風都市の伝説を補強することではないだろう。


 それでも、一方で伝説化もやむなし、と思えるのは、たとえば風都市が京都に遠征して企画/主催したコンサートに“とほりぬけられますこんさあと”と名づける感覚。“路地が入り組んだ京都の街だろうと風はどこでも通り抜けられます”というわけだ。で、僕は映画「荒野の七人」のラスト・シーンを思い出す。山賊との戦いから貧しい村を救ったユル・ブリンナーとスティーブ・マックイーンに、村の長者が「あんた方は風だ」と言う。二人はその言葉に顔を見合わせ、あいさつをして村を去っていく。その後ろ姿が感じさせるロマンティシズムを多くの人々は風都市に見て取っているのだと思う。


 それはともかくとして、個人的に印象的だったのは、まったく関係のない二人の人間が異口同音に「当時のPAの程度がひどかったから“はっぴいえんど”は評価されなかったのではないか」と、語っていたこと。というのは、当時の“はっぴいえんど”のライブでは歌はほとんど聞こえなかったらしい。歴史の真実とは得てしてこういう“なぁ〜んだ”といったことのなかに隠されているものである。


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http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_top.cgi?aid=p-yuibo81886


クョスコニョ    [1] 
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