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  ○月×日 The answer is blowin' in the wind
   新しく本を買いに行くのがなんだか億劫で、それでも電車の中など手持ち無沙汰な時間もあるから、昔読んだ本を読み返すことにして、特に理由もなくロス・マクドナルドの「動く標的」、ギャビン・ライアルの「深夜プラス1」を続けて読んだ。この2冊を続けて読んだのは本棚に並んでいたからだが、その2冊とも面白く読んだ記憶はあったものの、読み返してみるとまったくストーリーを憶えていなかった。いい加減なものである。が、まあ、それはいまに始まったことではなくて、とりあえず今回も面白く読んだのだから、それで十分なのだ。
 ただ、今回の再読で面白く思ったことは、「深夜プラス1」のあるシーンが、ただ今上演中の第三舞台最終公演「深呼吸する惑星」のあるシーンとつながったことで、それは約束ということについてのシーンである。
「深夜プラス1」で、死の危険を顧みず、仕事に向かうかつての恋人である主人公が「帰ってくるよ」と言うと、女は「なにも約束しないで」と答える。
 一方、「深呼吸する惑星」では大学生の若者が友人ふたりへの親愛と信頼の気持ちを込めて「二人に何かあったら、いつだってこの屋上から飛び降りるよ。約束する」と快活に語る。
 そして、約束しなかった「深夜プラス1」の主人公は女のもとへ帰り、約束した「深呼吸する惑星」の若者は自殺してしまう。そこに何か教訓を見出すこともできるんだろうけれど、とりあえず個人的にはまず思うのは実に時間とは流れていってしまうものであるということだ。
 第三舞台と言えばロキシー・ミュージックの「モア・ザン・ディス」だが、今回の公演でも開演前にブライアン・フェリーが浮世離れした歌声を聴かせていた。
♪As free as the wind and hopefully learning Why the sea on the tide has no way of turning♪
 本当の意味で風のように自由に生きていれば、なぜ潮の流れが繰り返さないのかなんてことも気にならなくなるような気がするけれど、現実には風のようには生きられないし、むしろ風に吹かれていってしまわないように自分の存在を誰かの気持ちにつなぎ止めようとして約束するんだろうと思う。そして、そこで聴こえてくるはずの歌に耳を澄ますのだ。「約束なんて、するもんじゃないよ」という歌が聴こえてきたとしても、それは仕方ない。
クョスコニョ    [1] 
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