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  ○月×日 問題は電力をどう使わないかではなく、時間をどう使うかということかもしれない
   いきなりヒマになってしまったので読書三昧、ということになるかなあと思っていたのだけれど、でもあまりに世の中が地味な方向へ流れていってしまっているので、これはちょっと…と思ってしまう因果な性分である。それでも、同じようなひねくれ者は他にもいるもので、例えば野田秀樹が週明けから「南へ」の公演を再開したので、観に行ってきた。地震が起こる前から気にはなっていたのだけれど、池袋まで行って当日に並ぶのはさすがに面倒だなと思っていたら、たっぷり時間ができてしまったのだから、これも何か縁だろう。
 さしあたっての注目点はやはり蒼井優であるわけで、下北沢のLADY JANEでご挨拶させていただいたときには素敵にかわいい人だったが、この日の舞台では声がいまイチだった。個人的には、遊眠社時代の円城寺あやを連想したが、まあ彼女よりはかわいいかな。円城寺さんファンの方、ごめんなさい。妻夫木聡は、ガスパッチョのCMを思い出した。で、野田秀樹は右足を引きずっていたのだけれど、どうしたんだろう? 彼の芝居を見るのはずいぶん久しぶりなのだけれど、何かでケガしたんだっけ?
 芝居自体の印象は多分、3月11日以前と以後ではずいぶんと違うだろう。以後に観た人間は、今この国を襲っている危機を予見するような部分にどうしても意識が引っぱられるだろうから。それでも、主題はおそらく、そうした個別具体的な問題に向けられたものではなく、野田秀樹自身も回答を持ち合わせていないんだろうと思う。僕の知り合いで、「日本に生まれたからって、日本人になるとは限らないってことでしょ」と言い切ってしまった人がいたけれど、なるほど、そういうふうにも言えるかもしれない。僕自身は、そんなにひらたく言えないのだけれど、この国では論理学で言う大文字の”S”の不在ということがずっと続いているということについての、この国なりのやり過ごし方の物語なのかな、というふうにも思った。それとは別に、スプリングスティーンとE・ストリード・バンドが4時間を超える長いライブをやっていたことも思い出したが、あのライブようなカタルシスはもちろんない。というか、カタルシスなんてないということ自体が多分メッセージなんだろう。
 なんてことを家で考えている分には、まったく電力を使わないから時宜にかなっている。それに、それ以外の時間は予定通り、読書三昧なので、これも電力を使わない。最近、新しく買って読んだ本は、松葉幸市「聞き書き横濱物語」、藤島大「楕円の流儀」、朝倉かすみ「田村はまだか」、絲山秋子「ダーティ・ワーク」、輪島裕介「創られた『日本の心』神話」だが、幸いハズレは引いていない。こういうときに馬券を買うとどうなんだろうとも思うけれど、いま自分がついてるのかどうかということを今はあまり突き詰めないほうがいいのかもしれない。ただ、この状況に際して、物理的にも精神的にもとても素な状態で音楽に向き合うに至ったミュージシャンが少なからずいることはおそらく事実で、そのことを「あれは、僥倖だったと言えるかもしれないね」と振り返れるような状況になることを今は祈るばかりだ。
 ちなみに、「南へ」のなかには再三「行幸」という言葉が出てくるのだけれど、そのいくつかは「僥倖」としても使われていたと思う。そういうの、好きだよね、あの人は。
クョスコニョ    [1] 
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