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  ○月×日 「30年前」なんて石器時代のような気もするけれど
   言うまでもなく、人間の記憶というのはいい加減なもので、いつの間にか事実とは違う地点に着地してしまっているし、またどういうわけでそうなったのか推測することもできないような改変を経てしまっている場合も少なくない。高校時代に見た矢沢永吉のインタビュー番組のオープニングがひどく印象に残っていたので、仕事でNHKに訪れるようになると、僕はその番組のオープニングを記憶のなかで辿って”現場検証”を行ったが、どうも辻褄が合わなくて、だから自分の記憶が間違っているのだろうとは思ったのだけれど、それでもどこかどういうふうに間違ってしまったのかずっと気になっていた。そうしたら、先日その番組が再放送されるというので、記憶についての”現場検証”を行ってみた。
 僕の記憶では、矢沢はNHKの正面玄関にクルマで乗り付けるとそのままインタビューが行われるスタジオに入っていったはずで、そのようすが編集無しの1カットで紹介されていたのだが、実際にはクルマから降りてくるとまず受付でスタジオの場所を確認し、それからスタジオに向かう。そして、その後編集が入って次のカットではもうスタジオの入り口に立っていた。しかも、クルマは僕の記憶ではロールスロイスだったが、実際にはキャデラックである。
 インタビューが行われたのが4階のスタジオだったことは映像でも確認できたから、正面玄関から入ってきて、エレベーターに乗ることもなくスタジオに入ったことになるのだが(NHKの正面玄関は、建物の4階部分にある)、インタビュー部分を編集していたら尺が足りなくなって、受付付近からスタジオまでのストロークをカットしたんだろうか? そんなことを気にする人は誰もいないだろうが、僕は何度か自分の記憶をたどってNHKの4階をウロウロしたことがある。
 その番組が放送されたのは1980年2月ということだから、僕は16歳だ。当時の僕は矢沢永吉という人にまったく興味がなかったはずだから、その夜その番組を僕がどうして見る気になったのかわからない。それでも、今回番組を見直してみると、インタビューの内容はほとんど憶えていた。特に、その後音楽の仕事をするようになってよく思い出したのは、番組のなかでインタビュアーが「ビッグの次は何になりたいですか?」と聞くと、矢沢が「面白いねえ。言葉遊びとして答えましょう。ビッグの次はグレートになりたいね」と答えるシーンだ。いまや「ビッグになりたい」とか「グレートになりたい」なんて言うミュージシャンはいないけれど、だからだろうか、存在として大きい人、偉大な才能というものにはあまりお目にかからなくなった。
 番組のなかの矢沢は30歳。現在の僕よりも年下だが、その僕から見ても30歳の矢沢は十分に魅力的な存在だった。16歳の僕は、当時どんなことを思いながら、そのインタビューを見たんだろう? その後、矢沢の音楽を聴くようになった、ということはないから、あまりピンとこなかったのかもしれない。それでも、その記憶を頼りにNHKをウロウロすることになるわけだし、さらにその番組のプロデューサーとのちに仕事をすることにもなったから、まんざら縁がないわけでもないのだろう。あるいは、NHKと縁があるんだろうか? とりあえず、NHKの食堂のメニューは安くておいしいから好きですけどね。 
クョスコニョ    [1] 
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