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  ○月×日 小坂忠取材
   3月にリリースされるニュー・アルバムとボックス・セットについてインタビュー。忠さんに会うのは、5年前にゴスペルの本を作ったとき以来だが、そのときには編集の立場だったから、直接インタビューするのは今回が初めてということになる。前回会った時に、「僕は10代の頃に忠さんが司会をしていた『MUSIC in USA』という番組をとても楽しみにして見ていたんです」と話したら、喜んでくれて、「あれは、蒲田の電子工学院で収録してたんだよね」と教えてくれた。”えっ!ということは、これまたすごく楽しみにして見ていたTVKの音楽番組「ファイティング80's」と同じ場所じゃないですかぁ!”とすごく驚いたわけだが、今回用意された資料のプロフィールを見ると、「MUSIC in USA」の司会を担当していたのは1977年となっている。ということは、僕が中学2年か3年の頃だ。当時の僕は、それから10数年後に、その同じ場所にTV音楽番組の構成担当として出向くことになるなんて考えてみもみなかった。まあ、人生なんて、そんなものである。
 ところで、今回のニュー・アルバムは、佐橋佳幸がプロデュースを担当していて、サザン・ソウル風味のアルバムを作ろうというのがテーマだったらしい。10代の頃に熱心に聴いた小坂忠のバックで演奏することになるなんて思いもしなかったというコメントを佐橋は資料に寄せているが、そういう自分が小坂忠をプロデュースするなら、オーティス・レディングとブッカー・T&MG'sみたいなアルバムを作りたいと考えたそうだ。で、バンドのメンバーが佐橋(g)、Dr.kYOn(key)、小原礼(b)、高橋幸宏(ds)というメンバーである。このリズム・セクションが今回の新作では印象的だ。その感想をインタビューの際に伝えたら、小坂はまたまた面白い話を披露してくれた。
「僕がフォージョーハーフというバンドを作ったときに、じつは幸宏+小原のコンビをオーディションしたんですよ。本人たちにはそういうふうには言ってなかったけど。で、最終的にはリズム・セクションは林立夫(ds)+後藤次利(b)のコンビなるんだけど、今回レコーディングに入る前に二人と食事する機会があって、いろいろ話してたら、二人ともそのときのことを憶えてたんですよね。『忠さん、あの時、僕を落としたでしょ』って(笑)。でも、二人ともが『あの時、落としてもらったから、今こうしてプロでやれてるんだと思う』って、すごく感謝してくれてたのが、ボクは本当にうれしかったですね」
 というわけで、小坂自身の今回のテーマは「人と人との関係を楽しむこと」だった。
「例えば、小原君が作った『はぐれ雲』という曲なんかはすごく不良っぽい曲なんですよね。それは、昔出会った頃に小原君が僕に対して持っていたイメージが影響してるんだと思うんですけど、そういう曲に対して僕は、“今の僕にはこういう曲は歌えないよ”というのではなくて、“それを楽しんでみようか”というくらいの気持ちでやってるということなんです。というのは、人と人との関係を考えたときに、いい絆を作るときには相手の人のなかの、自分が好きな部分とだけ付き合うということはできないですよね。好きじゃない部分も受け入れて初めて、その相手とのつながりというのは生まれるわけだから」
 この新作の制作を始める直接のきっかけは、昨年彼が60歳を迎えたことだが、その年齢を迎えてもなお、というかその年齢だからこそ今がいちばん楽しい、と彼は語る。
「今がいちばん楽しいと思ってるんです。若い時には、もちろんその時がいちばん楽しかったんですよ(笑)。でも、年を重ねていくと、“いや、あの時より今のほうが楽しいぞ”といつも思うんです。それは、若い時の僕がいた世界よりももっと大きな世界に、今の僕はいるからだと思うんですよね。いろいろな経験をするということは、その人の世界が広げられるじゃないですか。結局、人生を重ねるというのはそういうふうに世界を広げていくことなんじゃないかなと思うんです」

クョスコニョ    [1] 
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