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  ○月×日 「世界の中心で、愛をさけぶ」はなぜかくも売れているのか?
   遅ればせながら、「早稲田文学」5月号の大塚英志「更新期の文学」を読んだ。で、その本筋からははずれるが、日本の小説史上初の300万部超の売り上げを記録している「世界の中心で、愛をさけぶ」の人気ぶりに対してある種の納得を得た。まずことわっておかなければいけないのだろうが、僕はあの小説を初版で買い(いまとなってはどうして買おうと思ったのかまったくわからないが)、3分の1ほど読んだところで後悔し始め、それでもなんとか読み終え、久しぶりに腹が立った。
 この小説の大ヒットの理由として、柴咲コウによる「泣きながら一気に読みました」という帯のフレーズが大きく作用したであろうことは既に指摘されているところだが、"それはどうしてなのか?"とさらに踏み込んで考えようとすると、それはたとえばキョンキョンが気に入っているからという理由でミヒャエル・エンデの「モモ」が売れたように、あるいは小沢健二が推薦したおかげで「三島由紀夫レター教室」が売り切れる事態が生まれたように、その推薦人の個人的な人気に(この場合は柴咲コウですね)原因が求められている。が、ここで大塚の論に倣えば、この帯のフレーズによって世の人々は「泣ける」小説として「世界の中心で〜」を認知したのであり、世の人々にとってはとりもなおさずその種の「情報」こそが必要だったのだ、ということになる。
"そんなの当たり前じゃん"ということなのかもしれないが、少なくとも僕はそんなふうには本を選ばないし、あの小説の爆発的な人気に対する強い違和感のせいもあって、なるほど、と感心することしきりだった。
 ところで、吉田修一の「東京湾景」がフジテレビの月9でドラマ化されるようだが、これでいよいよ彼も人気作家の仲間入りを果たすことになるのだろうか。



クョスコニョ    [1] 
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