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THANKS GIVING TOURのファイナル。2週間ほど前に新しいアルバムについての長いインタビューをやったので、気持ちがすっかりそういうモードになっていたのだけれど、このツアーは去年から続いているツアー。ニューアルバムのお披露目ツアーではない。ここのところの彼らは、こうしたタイミングでのツアーもしっかりやっていて、それがバンドの地力を確実にアップさせているように思うし、また今後の展望を開く契機にもなっているように思う。
この日のライブについて言えば、全体の印象はずい分と落ち着いている。彼らの同世代の、いわゆるパンク系のバンドが勢いに任せたライブで一時的に動員を増やしている時期にも彼らは"歌"を聴かせることを詰み重ねていた。そういうステージはその時期にはともすれば地味に受け取られかねない、にもかかわらずだ。でも、そうした詰み重ねが、たとえばこの日の安定感につながっている。落ち着いているのに、こんなにも瑞々しくてワクワクするのは、それが付け焼き刃なものではないからなのだ。
アレンジにはところどころさり気なく手が加えられていて、技術の進歩に裏打ちされた音楽性の広がりも伺わせた。その、ちょっと垣間見える感じが、まだまだ奥行きがあるように感じられる。これまでのライブでは、まさにその時々の全部を出し切っている感じだったけれど、この日は決して出し惜しみしていないのに、なんだか余白が感じられるのだ。そこにバンドの地力の高まりが見て取れた。3月に始まる新作のツアーでは、またその瞬間のありったけを見せるようなステージになるんだろうか? それとも、またさらなる余白を覗かせるような演奏を披露するんだろうか? そんなふうに思いを巡らせることの楽しみを持てることも、彼らのライブを追いかける喜びのひとつだ。
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