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  8月5日 くるり@Zepp TOKYO
   6月にリリースされたアルバム『ベスト オブ くるりTOWER OF MUSIC LOVER 2』の購入者だけがチケットを申し込めるというスペシャル・ライブ。つまり、CDを買わなきゃ見れないライブだったわけだが、当然のように、チケットはソールドアウト。そして、おそらくはいつも以上に、くるり愛の強い人の比率が高いであろうと思われた。それは、個人的に”これは久しぶりだなあ”を感じるほどの、熱のこもった拍手からもうかがえたが、そういうライブの成り立ちとは別に、この日は電撃的に発表された5人体制になってから、東京では初めてのワンマンである。だから、後年くるりの歴史を辿る上でも記憶されるべき(ということになるかもしれない)ライブだ。
 興味の中心はやはり、5人になってどんな音楽を鳴らすのか?ということである。と言っても、いきなり新曲をバリバリやっていくはずもなく、これまでに発表した曲を5人編成で演奏するわけである。で、いちばんわかりやすいところでは、ギタリストが入ったことで、岸田はいよいよボーカリストとしての色合いが濃くなっていくように思われる。それは、ここ数年の楽曲の流れを振り返ればごく自然な流れとも言えるが、ギタリストの加入という物理的な事情が意識の流れを加速するように思える。
 ふぁんふぁんのボーカル力というかコーラス力は確実にくるりの音楽に新しい彩りを加えるだろう。単純に考えても、「シャツを洗えば」みたいに、男声と女声の掛け合いみたいな曲がバンドとして作れるようになるのだから。しかも、彼女の声は女生としてはそれほどキーが高い感じではなくて、中域で他のメンバーの声とうまく混じりそうだ。また、彼女のトランペットが奏でる中音域のロングトーンはすでにこの日のバンドのアンサンブルに新たな奥行きを与えていた。
 吉田省念は基本的にレスポールを扱うギタリスト。カントリー・テイストも持ち合わせているようで、そのアメリカ指向の演奏はまさにいまのくるりの指向をストレートに肉付けするものだと思う。
 田中佑司のドラムは、個人的にはいちばんの収穫であるように思えた。その実直なプレイは、くるり音楽のスタンダード化を強く後押しするだろうと思われた。
 全体的に言えば、くるりはかつて「ちょっと風変わりだけど、切なさを感じさせるいい曲を聴かせるバンド」というようなイメージだったと思うけれど、ここ数年で「本当にいい曲を作るよなあ」という印象が強まってきていたと思う。ただ、本来的にオルタナティブな資質の持ち主である彼らは、その「いい曲」を”いい曲然”とした形で演奏することにはまだまだ衒いがあったように思うが、今回の5人編成では若いメンバーのひたむきな姿勢も手伝って、まっとうにロック・スタンダードを聴かせていくバンドになっていくのではないか。そんな気がしたし、実際この日の会場を埋めたオーディエンスが素直に体を揺らす姿は、そうした音楽に触れた喜びを感じさせるものだったし、アンコールの拍手の熱の高さも、くるり愛に因るものだけではなく、やはりこの日の演奏の素晴らしさに対する興奮の証でもあったように思う。
 いいライブだった。
クョスコニョ    [1] 
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