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The Birthdayの音楽を、少し入り込んで聴いた人なら誰もが感じていることだと思うのだけれど、彼らの曲には曲ごとに何かの色を喚起するイメージがある。そうした曲たちが絶妙の配置で次々と演奏されていくと、その色彩感が硬質で、しかもきっぱりと乾いたサウンドのモノクロームなイメージと鮮やかな対照を成して、心地良い酩酊感を覚えるに至る。この日は映像の収録が入っていたからか、あるいは珍しくホールでのライブということのせいか、恐らくはその両方の理由に因るのだろうが、照明の光量が月並みでなく、だから赤は鮮烈に赤く、青は清々しい青で、要はそれぞれの色が明快に主張し、The Birthdayの音楽の世界をいつにも増して色鮮やかなものにしてみせた。今回のように、新作アルバムを携えてのツアーとは違う内容の場合には、そのバンドの個性がより際立つことが多いけれど、この日はその増量照明のせいもあって、いっそう深い酩酊状態に陥りそうになった。
が、その一方で、この日の音響が素晴らしく、例によって爆音ではあるのだが、メンバーの4人の音がそれぞれに屹立し、この類まれなバンドのアンサンブルの緊張感をはっきりと感じ取れることができたから、演奏が進んでいくほどに意識が覚醒していくのだった。つまり、視覚的側面からは酔っ払ってしまいたくなるのだが、聴覚刺激があまりにも鋭角的なので、それを許さないのだ。もっとも、その緊張感こそが何ものにも代え難い快感で、これこそがこのバンドのライブを体感することの核心だろうと思われた。
その快感の前提にあるのが、メンバー4人の揺るぎない演奏と歌であることは言うまでもない。
唯一無二のバンドであることを、あらためて思い知らされた一夜だった。
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