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  10月14日 奥田民生@日本武道館
  「武道館バトン」という話がある。
10年前、the pillowsが結成20年目にして初めて武道館公演を果たしたところから始まって、コアな音楽ファンの間では確かな評価を集めながら、いわゆるブレイクを経験しないままキャリアを積み重ねてきたバンドが武道館公演を実現するということが続いていくなかで、“武道館バトン”なるものがthe pillowsから順次引き継がれていったという話だ。その“武道館バトン”は、怒髪天、The Collectors、フラワーカンパニーズ、そしてThe ピーズと引き継がれたということになっているのだが、そこでその“武道館バトン”の趣旨を理解していない、あるいは理解していたけれど酔っ払ったThe ピーズのハルくんが、それを奥田民生に渡してしまったから……、なのかは定かではないけれど、奥田民生の武道館公演が久しぶりに実現した。2日続けてやるのは15年ぶり、ということである。“武道館バトン”でも回ってこないと、こんなことにはならなかっただろうと思ってしまうが、夏に本人にインタビューしたら、「たまたま武道館が取れたんで」と、例によってあっさりしたものだった。
1日目はMTR&Yという、彼が現在ツアーをともにしているバンドでのライブで、この日は奥田一人での弾き語り。こういう武道館2デイズをやれるのは、奥田民生だけだろう。そして、この日登場すると、ボソボソと少ししゃべった後で、しばらく黙り込み、「武道館の空調の音が聞こえるコンサートは僕だけでしょう」と話して、会場の笑いを誘った。確かに、何も音が鳴っていない時間がけっこうある。が、それでもの足りない感じがしないのは、彼の人徳なのか、音楽の質の高さの故か。
もちろん、その両方なのだが、やはり音楽の質の高さをあらためて実感する。確かなギターの技術と強靭なボーカル力。そして、アコースティックだからこそストレートに耳に飛び込んでくる歌詞の深み。「いい加減な曲からやりましょう」と話して始めた「ワインのばか」だって、グッとくる。いちばん、印象的だったのは、民生が歌うことを促して、会場全体が大合唱するなか民生のシャウトが響いた「私はオジさんになった」。ニール・ヤングの「ヘルプレス」を連想してしまった。民生はニール・ヤングほどひねくれていないと思うけれど、反骨ということにかけては負けてはいない。そして、オジさんになった今も、そこは揺るがない。あくまでもロック。アコギ1本で歌ってもロック。むしろ、バンド・アンサンブルをまとわないから、その素性がいっそう明らかになる。
不屈の魂を堪能した一夜だった。
クョスコニョ    [1] 
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