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  12月14日 ASIAN KUNG-FU GENERATION@東京国際フォーラム
   アルバム『ランドマーク』を携えてのツアー。本誌インタビューでも予告されていた通り、今回は3人のゲスト・ミュージシャンが参加。三原重夫(perc)、岩崎愛(cho)、上田禎(g&&key)を加えた7人編成でのステージだ。
 冒頭にBECKのカバーは配されているものの、その後の4曲はアルバムのアタマから同じ曲順。それだけでも、アルバムの世界をしっかりとステージで表現しようという意欲がはっきりと伺えるが、終わってみればアルバムの曲はすべて演奏され、つまりはアルバムで示された彼らの音楽的な到達点がライブ的な躍動感のなかでいっそうのダイナミズムを感じさせながら展開された。
 7人編成に因る効用は、まずは音が分厚くなったことだろう。が、それ以上に重要なのは、パーカッションをフィーチャーしたことに象徴される通り、バンド・グルーヴをより柔軟で、だからこそ強靭な、言わば植物性の骨格を持つ、そして多様に拡張されていくような渦として強化していく指向が明確に提示されたことだと思われる。硬質なビートを研ぎすませて鋼の構築物の揺るぎなさを目指すのではなく、森の中のざわめきがこだまし合いながら伝わっていくようなグルーヴとでも言えばいいか。だからこそ初期の4つ打ちヒット・チューン「君という花」もアジカン流ヘヴィメタル「センスレス」も、ただ飛び跳ねるだけではない、あるいはただ首を上下させるだけではない、身体の芯の部分を揺らすような反応を促す演奏だった。体感速度としての演奏のテンポ感が全体的にゆったりとして感じられたのも、そのグルーヴへの意志がもたらしたものだろうし、結果として個々の演奏の機微もよりいっそう感じられた。メンバーの生真面目さは、ともすればそのグルーヴの柔軟性にそぐわないように感じられるところもあったが、生真面目だからこそその違和感もやがて乗り越えるだろう。つまり、ここで目指したものは各プレイヤーの演奏力の向上がさらに求めるわけで、その意味でこのツアーが展示したものは大きな成果であると同時に、新たな始まりでもあるだろう。そして、そういう意欲的なパフォーマンスが十二分に展開した後だからこそ、1曲だけ4人で演奏した「夜をこえて」の潔いアンサンブルもまた新鮮に響いたのだった。
 もっとも、こうした音楽的成果を生み出すステージが、「負け犬」という意味のカバー曲で始められ、終演後にはボブ・ディランの「風に吹かれて」が流れたことも決して忘れるべきではない。♪The Answer,My Friend,Is Blowin' In The Wind♪とディランが歌った、その風の響きに耳を澄ますこともまたこの日の重要なメッセージだったに違いない。




クョスコニョ    [1] 
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