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  10月28日 The Birthday@Zepp TOKYO
   ギタリストに新しくフジイケンジを迎えて制作したアルバム『I'm A Just Dog』を携えてのツアー、その佳境のステージである。
 ゾロリといった調子で弾き始めたグレッチに、レスポールの小気味のいいフレーズが絡むと、そこでもうグルーヴが生まれる。が、そのつかの間の蜜月に、決然としたドラムのフィルインが割って入ってきて、さらには重心の低いベースまでが体を預けるようになだれ込んできたところで音が爆発した。そして、その爆発した音の塊は砕け散るどころか火の玉となってグングンと突き進んでいく。その火の玉の核にあるのは、もちろんチバユウスケの強靭なノドだ。その強靭さに拮抗するように鍛え上げた音を各パートがぶつけ合い、そこに生じるエネルギーがさらに全体を加熱していった。
 ドラムのためのひな壇さえなく、ステージ中央にアンプも固めた配置はまさにライブハウス仕様と言うべきもので、そのなかでひしめき合うように演奏する4人の姿を明度を抑えた照明が浮かび上がらせると、まるで200人キャパのライブハウスで見ているような親密さを感じる。しかし、その親密さは来るべき開放のためのイントロダクションでしかなく、照明が全開になったところで最初のカタルシスが訪れた。
"終わり"へと生き急ぐ性急さがロック・ミュージックのガソリンだとしても、今の彼らにはそんな燃料は必要ないようだ。隠しきれない哀しみと抑えきれない高揚、それに研ぎすまされたバンド・アンサンブルがあるのだから。
 何度目かのカタルシスの果てに、チバは歌う。
♪シルエットは思ったより長くて/僕は巨人になってた/これならお前を守れるだろう/どんなものからも/そう思ってた/思ってた♪
 続いていく日々のブルースが彼らのガソリンであり、それを彼らは見事にステージ上で燃やし尽くしてしまうのだ。
 会場を出てから約3時間。まだ耳鳴りは収まらない。が、それは音のデカさだけが原因ではないだろうと思う。圧倒的なステージだった。
クョスコニョ    [1] 
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