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  4月20日 高野寛@PLEASURE PLEASURE
   ニュー・アルバム『Kameleon pop』の発売日に、その収録曲を全曲演奏するという、まさに新作お披露目ライブである。もっとも、MCでも話していた通り、本来はツイッターなんどに寄せられたリクエストを中心に構成するつもりだったようだが、地震で考えが変わったようだ。最初に数曲、今回のことへの思いを込めてピックアップしたと思われる過去のレパートリーを数曲聴かせた後、「ここからはニュー・アルバムの曲を全部やります」と宣言して、順不同で13曲を演奏した。この会場で購入した人も少なくなかったようで、つまりはこのライブで初めて聴くという曲が続く、最近では珍しいセット・リストだったわけだ。そういうこともあったからか、また今回の出来事のために気持ちが縮こまっていたせいか、アンコールの1曲目に「スターティング・オーバー」のイントロを高野がざっくりと弾き始めると明らかに会場の空気が緩み、さらに静かな希望をはらんだその楽曲の魅力に促されるようにゆっくりと会場全体が伸びをしたような感じになった。例えばポップ・ミュージックとしての強度というような尺度があるとして、その度合いはこういう状況にあってどれほどオーディエンスの気持ちを柔らかくほぐすことができるかということで明らかになるように思うのだけれど、そのアンコール1曲目は高野寛音楽のポップ強度の一端が示された場目立ったというふうに言えるかもしれない。その重要な場面で、当の本人が歌詞を忘れてしまうのはいかにも彼らしいけれど、逆にそれがオーディエンスの気持ちをいっそうオープンにさせたようだ。高野の言葉を借りれば「無事にライブができることがこんなにうれしい日がくるとは思わなかった」という状況だからこそ、彼の音楽のほんのりと温かな感触がなんとも愛おしく感じられるライブだった。
クョスコニョ    [1] 
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