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アルバム『うれしくって抱きあうよ』を携えてのツアー、その20本目。残念ながら、本人のノドの調子が万全ではなかったようだけれど、それでも十分にというか、じつに見どころの多い魅力的なライブだった。
本人が「森のYUKI劇場」と称したステージセットがまず素晴らしい。「最新作は音の手触りをすごく大切にした」と本人が語ったのと照応するように、ステージセットもまたイマジナブルでありながら手作り感のあるトーンが印象的で、だからそこに現出する世界は異世界でありながら、生身の人間が確かに息をしている世界だと感じられた。もっとも、その「生身の人間が確かに生きている感じ」はおそらく、YUKIのチャーミングでふくよかな存在感に圧倒された結果でもあるだろう。ボーカリストとしての彼女は、持ち前の金属質な高音に加えて、最近は大人の女性ならではの中低音を効果的に聴かして、歌の陰影を際出せてみせる。だから、この日のステージでも、その歌声はただハッピーなだけではない、哀しみや寂しさも飲み込んだ奥行きのある感情をしかりと表現してみせた。しかも、ゴンドラで天井から降りてきてみたり、マントショーまでも披露するサービスぶり。本当に、味わい深くも楽しい2時間半だった。
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9月17日 YUKI@東京国際フォーラム・ホールA
