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  6月14日 YUKI@オーチャードホール
   ゴスペル(GOSPEL)という言葉の語源は「良い知らせ、福音」を意味するgodspellなんだけれど、でもゴスペル音楽自体が”良い知らせ”なのかと言えば必ずしもそうではなくて、”良い知らせが届くといいな、届いてほしいな”という祈りとか願いの気持ち、そしてそういう気持ちを信じる、あるいは大切に思うことがゴスペル音楽のいちばんのコア部分なんだろうと勝手に思っている。もちろん、ここで言う”良い知らせ”とは「今年のボーナスはかなりアップするらしいよ」とか「活きのいい魚が入ったよ」とか、そういうことではない。
 例えばこの日、YUKIが♪見たことのない場所へとまだ歩いていけると思ったんだ♪と歌った後で、「本当に思ったんだよ」とつぶやいて、それに続いて♪私はこのまま信じてゆけるわ愛の強さゆえ♪と歌い継いだシーンはまさに意味としてのゴスペルが現出した瞬間で、しかもその♪愛の強さ♪は彼女のなかで完結してしまう種類のものではなく、それこその「強さゆえ」にオーディエンスの気持ちのなかにもポジティブなエネルギーの種火のようなものを点火したように感じられた。
 その上で、重要なのは随所にそうしたゴスペル・ライクな高揚を呼び起こしながらライブ全体の印象は”厳か”というよりもむしろ”楽しい”、もっと正確に書けば”楽しい♥”という感じだったこと。オーチャードホールという舞台設定で、ストリングス、ホーン・セクションまでフィーチャーしたフルバンドを従えて、しかし彼女は決して肩肘張った調子にならず、あくまでもチャーミングで、圧倒的に魅力的なエンターテイナーだった。黒人音楽をベースにフォーマル・スーツでエンターテイメント・ショーを展開したキャブ・キャロウェイなんて名前を思い出したり、あるいはベット・ミドラーを連想してみたりもしたけれど、多分そうしたことはあまり意味がなくて、これはやはり彼女ならではのショーなんだろうと思う。
 このスペシャル・ライブに"THE PRESENT"というタイトルをつけたのは、"PRESENT TIME"という表現が”贈り物の時間”を意味すると同時に”今”という意味も持ち合わせているということを知って驚いたからだと彼女は話していた。そして、この日のライブはまさに”今は神様からの贈り物ような今”が積み重ねられた時間だった。
クョスコニョ    [1] 
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