総計: 4340123  今日: 23  昨日: 3100       Home Search SiteMap
K's Glasses
profile
自己紹介
Diary 
Live Report
Recommend CD
  12月12日 ASIAN KUNG-FU GENERATION@日本武道館
   怒濤のリリース・ラッシュを展開した2008年を締めくくるツアー、その名もTHE FINALのステージは、アジカン史上最もハッタリの効いた演出で始まった。照明の光量も十分。それだけ予算がかけられるようになったと言ってしまえばそれまでだけれど、彼らの最新作『サーフブンガクカマクラ』は、こうしたスケール感をある種のユーモアとして感じさせるほどに吹っ切れた内容だったから、面白おかしく楽しめる演出になった。そして、この日のステージはそうした精神的現在地から始めて、バンドの軌跡を初期から辿り直すようなセット・リストだった。もっとも、それはたとえば学者が歴史を検証していくような調子ではなく、あくまでも青々しい前のめり感に溢れていた。
 ここ数年、どんどんフランクになって言葉数も増えていた後藤さんのMCもこの日は少なめで、おそらくそれはこの日のステージでは演奏が十分に饒舌だからMCの必要をあまり感じていなかったのだろうと思われる。随所にメドレーでつないだりセッション風の展開から曲に入っていくような工夫が盛り込まれていて、つまりは演奏にものを言わせようという意欲が強く感じられたからだ。ただし、その“語り口”はたとえばきっちりと仕上げた台本をていねいに読み上げていくようなものではなく、もっと自由闊達な、そしてオーディエンスを十分に意識した“語らい”だった。その“語らい”のフリーな感覚こそが2008年のアジカンなのだろう。
 ところで、そうした演奏にものを言わせたくなる時期が必ずバンドにはやって来るものだけれど、それは逆に言えばバンドの地力を改めて確認すべきタイミングになる。だから、それぞれがもう一度、自分の演奏力を後藤さんのボーカルまで含めて吟味するべきだろう。その意味でも、年明けからスタートするホール・ツアーは注目だ。




クョスコニョ    [1] 
 前のテキスト: 12月15日 the pillows@赤坂BLITZ
 次のテキスト: 12月10日 orange range@日本武道館
copyright(c)2008 TATSUYA KANEDA All rights reserved