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”Tour 酔杯2007〜project Beef〜”中盤、7本目のステージである。
彼らは、1年前にはシングルを1枚リリースしただけで初めてアリーナ・ツアーを敢行したわけだが、今回はそれ以来のニュー・シングルを11月にリリースし、そのまま今回のツアーをスタートさせた。1年前には”初めてのアリーナ・ツアー”という看板があったが、今回はそうした類いのネタはない。彼らがツアーに出ること自体がネタであり、彼らもまたそのことこそをアピールしたかったのではないか。彼らは現在の自分たちの演奏をすごくオーディエンスに披露したかったのだろう、そう思わせるステージだった。
今回は、各ステージともオープニング・ゲストが登場するのだけれど、この日は奈良出身の4人組lostage。派手なところはひとつもないが、それだからこそ秘めた熱量が率直に伝わる演奏で、それはやはりアジカンのファンにも十分にアピールしたようだ。
さて、アジカンの出番。転換のために下ろされた幕が上がるとスクリーンがあって、そこにツアー・タイトルなどが映し出される。続いて、暗示的な映像に変わり、そこに居ずまいを正した8ビート・ドラムがかぶさってくる。とりわけ、キックの音に気合いが入っているように感じられる。やがて演奏が始まり、スクリーンにメンバーのシルエットが次々に映し出される。わき上がる歓声。会場の熱が高まり、思いが弾けるまさにそのタイミングでスクリーンが引き落とされて、メンバーが姿を現した。
まだツアー中だからセット・リストを詳細に伝えることはしないが、2曲の新曲と後半で聴かせたお馴染み曲のニュー・アレンジで、彼らがアルバム・リリースを待たずにツアーをスタートさせたことの意図を十分に理解できるということだけは言える。特に、2月にリリースされるニュー・シングルのたっぷりとした8ビートは、オープニングのセッションの8ビートの確かさと呼応して、現在の彼らの自信を象徴するものだろう。お馴染み曲のニュー・アレンジも、バンドとしての身体能力の向上を野心的に披露するような演奏だった。すなわち、これまでとは違う筋肉を使ってもこれまでと同じように、あるいはこれまで以上に遠くまでオーディエンスを連れていってしまえることを、彼らはファンに伝えたかったのだろう。そして、その音楽筋肉も十二分に駆使してニュー・アルバムを作り上げたのだということを予告したかったのだろうと思う。「ちょっと暴君ぶりを見せちゃおうかな。アンコールはあと1曲ってことにしてたんですけど、あと2曲やります」と、もったいぶったもの言いでアンコールを増やした後藤正文の真意は、自分たちのバンドとしての身体能力の向上具合をオーディエンスを前にあらためて確認してなんとも気持ちが良かったということに相違ない。
ところで、ライブを見ていて気づいてしまったのだけれど、今回の”Project Beef”というタイトルは、ツアー・ファイナルで初めてワンマン公演を果たす韓国でおいしい焼き肉を食べる、というメンバーの意欲の表明だろう。間違いなく、彼らは最高にうまい焼き肉を食べることになるはず、と確信したステージだった。
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