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  6月4日 くるり@Zepp TOKYO
   たとえば。名人ドラマーと呼ばれる村上"ポンタ"秀一が叩くと、ドラムの音はデカくなる。それは、彼がデカく叩いているからでなくて、ドラムのスイートスポット、つまり太鼓の芯を叩いているから、音はデカくなるのだ。で、音がデカい、というのは相対的な表現で、つまりは芯の通った音を出しているということ。僕は、六本木のとある飲み屋で真夜中に酔っぱらったポンタが菜ばしで、ドラムを叩き、芯の通った音を出しているのを見たことがある。名人の芸とは、たとえばそういうことである。おそらく、くるりのドラマー、クリストファー・マグワイアも菜ばしで(仮に彼がそんな酔っぱらいのような行いをするとして)見事な音を叩き出すだろう。この日のライブでも、彼は見事に芯の通った音を鳴らしていた。
 おかげで、くるりの演奏はメンバーそれぞれが思いきりそれぞれの楽器を鳴らしている。それぞれが個性を発揮しながら、バラバラにならないのだ。ドラムの音に芯が通っていると、その音にみんなが信頼を寄せることによってアンサブルにも芯が通るのだ。ジーコ・ジャパンに求められるのは、まさに比喩としての芯の通った音を鳴らせるドラマーであるわけだが、それはともかく、みんながそれぞれに思いきり鳴らしながら、バンド・アンサンブルとしても見事な調和を描き出しているその音は、印象として素朴に"バンドで音を鳴らすのって気持ちいいだろうなあ"と思わせる。
 と、思っていたら、岸田繁は最初のMCで「楽しませてもらってます」と、来た。正直なヤツだ。そりゃあ、こんなふうにバンドで音が鳴らせれば楽しいだろう。とは言っても、彼らは自分達だけが楽しんでいるわけではない。むしろ、こんなに聴いている人間の気持ちを前向きにする音楽はないのではないか。少しばかり真面目になって周りを見渡せば楽観的になることがひどく困難な世の中だが、くるりの演奏を体験していると、世の中の出来事のわりと多くのことはなんとかなるんじゃないかと思えてくる。
 次のMCで岸田は、「デビュー当初はうぶ毛しかはえなかったのに、このツアーではひげが伸びた」という話を面白おかしく語ってみせた。それはじつに象徴的な話で、くるりはちゃんと年をとったということ。そして、彼らはちゃんと豊かになっている。素晴らしい。こんなバンドが同時代に活動していることの幸福を強く思う。
クョスコニョ    [1] 
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