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  6月27日 フジファブリック@ZeppTOKYO
   最新シングル「Surfer King」を受けて”サーファーキドリツアー”と銘打った全国ツアー最終日。始まる前のインタビューで語っていた「今の音楽シーンに勢いで再び乗り込みたい!」(志村)という言葉通りの、かなり前のめりなバンドの意識が全面に出たステージになった。
 とは言っても、直線的に前のめり感が押し出されるわけではない。サイケデリックなロック感と土着的な妖しさが入り混じったような彼らに独特の不穏な空気、トボけた味わいのなかに愛らしさをも感じさせる展開、茫洋としていながら足元から燃え盛って来るような叙情性などなど、彼らの音楽が持ち合わせている個性を次から次へと差し出していき、持ち札をズラリとテーブルの上に並べていくその手際がいかにも直情的で、だから間奏などでのソロ・プレイなどもちょっとずつ長め。そんなふうに“思い余って…”といった感じが随所に見られて、たとえば最終日ゆえの高揚を差し引いたとしても、その前のめりな感情のほとばしりこそが今回のツアーの見どころだったと思われる。肉体改造の成果を実感したバッターがついつい強振してしまうように、彼らもまた、バンドがどんどんタフになっているのを実感しているのだろう。そして、その実感は実感でしかない、とも言えるわけで、だからこそ思い切りバットを振ってみることで、その実感の内実をプレイヤーは確認するわけである。だから、フジファブリックもまた、バンドがスケールアップするために必ず通り過ぎなければいけないひとつのステップを、しっかりと、見事にバットを振り切ることでクリアしたという印象だ。
 また、リリースされたばかりのシングル収録の2曲に加えて新曲も2曲披露されたことにも注目。その一連の新曲群にあらためて感じられた、メロディは確かにポップなのにアレンジがひとクセもふたクセもあって全体としてはストレンジな印象を与えるという彼らの音楽的素性を、おそらくは無意識に、アピールしてみせたことは「シーンに再び乗り込んで」いく彼らの基本的なスタンスを示しているのだろう。すなわち、自分たちの本来的な魅力を、装飾するのではなく、骨太にすることでこそオーディエンスを惹きつけようということ。その心意気や良し。今年後半の活躍を期待させるに十分のライブだった。
クョスコニョ    [1] 
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