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夕方、別件で電話をかけてきた編集者と話していて、「今日は武道館ですよね？」と言われて、急遽行くことにしたのだった。で、結果、半ば強引に誘ってくれたその編集者に感謝しなければいけない、と思うことになった。
それはまずなんとも前向きなエネルギーにあふれたステージだった。それは、バンド時代の、ツアーごとに動員を増やしていった、ちょっと鬼気迫る感じさえあった頃とは種類が違うのだけれど、しかし熱量はそれに勝るとも劣らないエネルギーなのだ。僕は、彼の1 st ソロ・アルバムがとても好きで、でもそのアルバムが宿命的に背負っている（と、感じられる）暗さにはちょっと危うさも感じたものだが、その後の時間の流れのなかで彼は名前をYOSHII LOVINSONから吉井和哉にし、その変名の理由に合点がいくアルバムを作り上げた。そして、さらにその心持ちが揺らぎないものであることをこの日のステージは伝えている。ストーンズやデビッド・ボウイのカヴァーもTHE YELLOW MONKEYの曲も含んだこの日のセット・リストは、彼のロック性とエンターテイメント性との両方を印象的に感じさせてくれるものだった。そして、2回目のアンコールで弾き語った「Jam」は、リスナーに向けた彼の真っすぐな気持ちの表明であるだろうし、同時に次に向かう彼のなかの衝動の告白でもあると思う。来年、「Jam」以上に魅力的な曲を彼は作り上げるんじゃないだろうか。
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12月28日 吉井和哉＠日本武道館
