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白い衣装をまとった主役が登場すると、客席の女性ファンから「かわいい〜」の声が飛ぶ。確かに、その姿は妖精のようだ。が、その聖性は、彼女が歌い始めてよりいっそう明らかになった。
デビュー当初の彼女の音楽に黒人音楽からの影響を否定することはできないだろうし、だからJ-R&Bなどという枠組みに加えられたとしてもあながち理由がないことのようにも思えるが、少なくともこの日のライブを見れば、そうしたジャンル分けが彼女の音楽にはまったく意味を成さないことは明らかだろう。R&Bという黒人音楽の商業ベースに沿った発展形態の文脈を越えて、彼女のこの日のパフォーマンスはよりネイティブで生々しい。結果、ポピュラー・ミュージックとしてのわかりやすさは幾分後退しているかもしれないが、しかし音楽としての説得力は格段に高い。それが証拠に、オーディエンスは温かいアンコールで執拗に彼女を求め続けた。
ステージ上には、それ以上でもそれ以下でもなく音楽としか言いようのない表現だけがあり、その向こうには宇宙の神秘からこの日の晩のおかずまでが見えてくるような、素晴らしいステージだった。
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