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  4月23日 ハナレグミ@日比谷野外音楽堂
   缶ビールを2缶とポテトチップスを下げて丸ノ内線霞ヶ関駅のホームを女の子が走って行く。行く先は僕と同じだろう。気持ち良くなるのはわかっているから、ビールでちょっと酔っぱらって、なんてみんな考えているのだ。地上に出ると、夜風が涼しい。
 気持ち良くなるのはオーディエンスだけではない。永積タカシだって野外で演奏することの気持ち良さにすっかり味をしめてしまったようだ。正直に言って、この時期にライブをやるのなら、たとえばNHK ホールあたりのほうが落ち着いて聴けるのだけれど、なんてことも少し思うけれど、まあ仕方ない。彼が野外でやりたかったのだろう。
 ステージ上のセットは、誰かのうちのリビングルームか、ペンションのテラスのようだ。そこにラフな格好をした永積がひょっこりといった感じで現れ、「歌うよ」といつもの陽気な調子でひと声かけてから、おもむろにアコースティックギターをつま弾き始めた。そして、彼の歌が始まると、急に空気が変わった感じがして鼻の奥がツーンとした。
 それでも、曲の合間に話す調子はなんともユルユルで、順番にサポート・ミュージシャンを招き入れては曲を披露し、「みんな、どんどん飲んでね」なんて声をかけられると、彼のホーム・パーティーに居合わせているみたいな気分になってくる。だから、実のところ吹き抜ける風は肌寒いほどだったりもするのだが、なんだかビールが飲みたくなってくる。曲が終わるたびに、あちらこちらで売店に向かう人が見える。売店のオバサンも今夜はゴキゲンだろう。
 ステージ後半に続けてカバーを披露するパートがあり、「そして僕は途方に暮れる」や「男の子と女の子」「Lucky 」「ダウンタウン」などを聴かせてくれたのが、ハナレグミ・バージョンの小沢健二「いちょう並木のセレナーデ」を聴いていて、昔オザケンが「いちょう並木〜」は原由子の『Miss YOKOHAMADULT』に入っている「いちょう並木のセレナーデ」へのオマージュだ、と桑田佳祐との対談で語っていたのを思い出した。その記事を読んだときには"そうかなあ・・・"と思ったが、ハナレグミ・バージョンを聴いていると、確かに桑田音楽のある部分をスノッブにするとオザケンになるような気がしてきた。そして、高田蓮が弾くスライドギターに永積の声が重なるシーンではダニエル・ラノワの音楽のイメージが重なる。ただし、ラノワの音楽と決定的に違って、永積の音楽は風通しがいい。空気が巡っている感じがする。
 ステージは約2時間半。駅を走っていた女の子は結局、何本ビールを飲んだだろう?

 
 
 
クョスコニョ    [1] 
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