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  3月5日 忌野清志郎@PARCO 劇場
   35周年記念ライブの4日目・最終日。内容は2日目に近く、セットリストは最新作『GOD 』からの曲と往年のナンバーで構成され、ゲストはひとり。そのゲストは、締めくくりの日のやはりこの人しかいないだろう、仲井戸CHABO麗市だった。
CHABO が登場しての1曲目は「いい事ばかりありゃしない」だったのだけれど、その1番の歌詞は、
♪いい事ばかりありゃしない 
 昨日は白バイにつかまった
 月光仮面が来ないのと
 あの娘が電話をかけてきた
 金が欲しくて働いて 眠るだけ♪  である。
その「月光仮面が来ないのとあの娘が電話をかけてきた」のところでなぜかグッときてしまい、泣きそうになった。そんな「あの娘」と付き合ったことはないし、付き合いたいと思ったこともないけれど、青春と呼ばれる季節に特有の出口のない感覚みたいなものが蘇ったのかもしれない。
 この日、前説としていきなり登場した筑紫哲也が清志郎を「永遠の少年」を評した。「永遠の青年と言いたいところだけど、それ以前の感じだものね(笑)」
清志郎の独特の声は、決して美声とは言えないが、しかし人の気持ちのいちばんナイーブな部分に直接突き刺さってくるようなところがあって、彼の35年のキャリアはその声の個性に負うところも多い。で、その声の個性は、筑紫が言うところの少年性から生まれているように思える。そんな声でちょっとばかりロマンティックなことを歌われたら、たいていの人間はナイーブな季節に引き戻されてしまうものだ。
 ただ、この日の個人的なクライマックスはそこではなく、やはりCHABO とのやりとりだった。2回目のアンコールにふたりだけでステージに現れ、演奏を始める前にCHABO が清志郎との思い出を語り始めた。そして、清志郎の魅力を率直に讃えるCHABO の語り口がじつに穏やかで温かかった。RCの活動が自然消滅的に途絶えた時、原因として二人の不仲がささやかれたことがあったし、実際そういうこともあったのかもしれない。しかし、そのCHABO の話を聞いていると、この二人のお互いを認め合う気持ちは揺るぎないし、その気持ちに素直でいられる場所にいまや二人は立っていることがよくわかる。そして、この二人の有り様が今回の記念ライブの豊かさを象徴しているようにも感じられた。
 4日間の演奏時間の総計は約13時間。その長さはしかし必然なのだと納得のライブだった。
クョスコニョ    [1] 
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