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会場の規模がスケールアップした、彼らにとって2回目の全国ツアー。9月に始まっていよいよ佳境なのだが、そのステージ運びは良くも悪くも初々しい。端的に言って、ライブの流れがちょっともっさりしてしまう箇所が在る。他のバンドなら、それは当然、欠点と感じられるだろう。しかし、このバンドの場合にはその流れ具合が(あるいは、流れなさ具合が、というべきか)むしろひとつ個性として機能する。ライブを見終わった後に込み上げてくる、なんとも言えない温かさを生み出しているのは、そうした朴訥としたステージングなのだ。
音楽的には、メロディックなポップ・ナンバーがやはり印象的だ。男性と女性のツイン・ボーカルにラップが絡む展開は、80年代、突然変異的に登場して東京ドーム公演まで上り詰めたバービーボーイズの音楽の進化型というふうにも言えるだろう。ただし、その音楽の肌触りは、バービーとは対照的に、柔らかで温かい。アルバムがミリオンセラーを記録するのもむべなるかな、とあらためて思った。そして、そうした楽曲の印象とステージの印象が見事に重なるということが、彼らの存在そのものに対する信頼感につながっていくと思われる。
この初々しさがどんなふうに深まっていくのか? あるいは、深まることとはそもそも無縁なのか? 今後への興味を大いにかき立てられるステージだった。
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