最初の4枚のアルバムから8曲をピックアップして最近ライブを共にしているメンバーとリアレンジした演奏に新曲2曲を加えた10曲入り。最初の4枚のアルバムということは独身時代の作品ということになるわけだが、その時期、特にデビュー当初の彼女の音楽の主要なモチーフをひと言で言えば “もう! どうしてわかってくれないのよっ!” って感じだったと思うのだけれど、そうしたディスコミュニケーションの果てに訪れる哀しみをくぐり抜けた人だけが持ちえる温かみをこのアルバムは感じさせてくれる。もちろん、その温かみとは“気持ちは伝わる”ということに対する信頼がもたらすものだろう。そして、彼女独特の“つぶやき唱法”はいよいよ説得力を高めている。それもまた、その歌い方に対する彼女の信じる気持ちの強さの高まりを反映していると思われる。つぶやくように歌うとき、彼女は心の中のいちばん深い部分の機微を伝えたいのだろうし、その微妙な感覚は声高に叫ぶのではなくつぶやくように歌わないと表現できない、つまりその感覚とはまさにつぶやきのような感覚なのだということを彼女は確信しているのだ。
人も物も、それがそれとして在ること。
彼女の“A Scenery Like Me=私らしい風景”はそんな在り様から成り立っている。
A Scenery Like Me
Break These Chain
あれはね
罪深く愛してよ
青
PRIVATE BEACH
No Promise
愛の飛行船
time after time
Happy Toy
うそをつくのに慣れないで
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